ブランド豚とは何か?

ブランド豚というのは、国内外問わず世界中で生産されている地域固有の豚や特殊な飼育方法を用いている豚のことを指します。

日本でも有名なブランド豚と言えば、いまやレストランなどでよく見かけることとなったスペイン産のイベリコ豚がその代表格でしょう。

イベリコ豚は広い放牧地、自然環境の中でノビノビと育てられた豚で、エサには自生して落ちているドングリがよく食べられています。

イベリコ豚のように、特殊な飼育環境や独自の飼料をもってして育てられた豚が「ブランド豚」ともいわれるわけですが、日本においてブランド豚とはどういった位置にいるのか気になるところです。

また、ブランド豚であるための定義や条件といったものも知っておきたい部分だと思います。

そこで、ここではブランド豚について様々な角度からご紹介していきます。

ブランド豚の定義や特徴とは?

まず、日本においてのブランド豚について見ていきたいと思いますが、実は国産ブランド豚には明確な定義や特徴といったものがありません。

たとえば和牛や地鶏といったものに関しては、食肉協会や国が定める基準というものがあるのですが、豚肉には何故かそういった定義がないのです。

これはブランド豚というネーミング自体が、近年になって使われ出した言葉であり、国や自治体による統制がいまだ整っていないということになります。

そうなると「ブランド豚とはなんだろう?」と甚だ疑問に感じてしまうかもしれませんが、一応豚肉を取り扱う業者の間では、豚肉をいくつかの項目に分けて審査した結果、一定以上の水準を超えて安定供給できる豚肉をブランド豚と呼ぶようにしています。

そのため、通常の豚肉よりはブランド豚の方が品質も価格も高くなるわけです。

○日本のブランド豚で代表的な種類「平牧三元豚」

しかし、基準がないといってもやはり日本の技術力や生産農家の実力というのは高水準であり、各地域でそれまでになかった新しい豚というものが開発されています。

そんなブランド豚の先駆けとも言えるのが、山形県の平牧三元豚です。

ただ、平牧三元豚を知るには、まず三元豚というものについて先に簡単に説明しておきましょう。

三元豚というのは、3種の豚を配合させた豚肉のことで、主にランドレース種、大ヨークシャー種、バークシャー種、デュロック種といったものが用いられています。

どれも海外におけるブランド豚の一種に該当していて、それらの良いところを組み合わせたのが日本の三元豚です。

そんな三元豚を使い、いち早くブランド豚として確立させたのが「平牧三元豚」となります。

こちらは、平田牧場が生産する、「ランドレース種、大ヨークシャー種、バークシャー種」を掛け合わせた豚です。

非遺伝子組み換えのとうもろこしと大豆粕をエサに加えて飼育し、バークシャー種の特徴である甘い脂身と、繊細で柔らかい赤身が魅力的な品種となっています。

最近では、市場の需要が増して、さらに人気が高まっているブランド豚のひとつです。

この平牧三元豚の成功を見た養豚業者が、その方法をベースに独自で開発するほど平牧三元豚は優れていて、いまや東北を代表するブラント豚にまで成長しました。

○新たなブランド豚として注目の「茶美豚」

1990年代初め頃から鹿児島県で生産が取り組まれているのが「茶美豚」です。

元々、鹿児島は黒豚の産地として有名でしたが、さらに別の種類のブランド豚を開発しようとして作られたのがこちらのブランド豚です。

茶美豚には、鹿児島県の名産品でもあるお茶の成分を飼料に加え、さらにサツマイモをプラスした独自のエサを与えています。

このエサには、豚肉にそもそも多く含まれているビタミンEをさらに強化する工夫が施されていて、非常に健康的な豚としても注目されています。

茶美豚を生産する農家では、カテキンを混合した飼料割合など様々な工夫がされていて、常その肉質を進化させようと必死です。

そうした努力が実った結果として、茶美豚はブランド豚としての先輩である鹿児島黒豚と並ぶくらいの出荷量へと成長しています。

ちなみに鹿児島県全体での豚の出荷頭数は年間およそ200万頭とされていますが、そのうち「茶美豚」の出荷頭数は約25万頭ほどです。

これに対して「かごしま黒豚(鹿児島県産のブランド豚)」の出荷頭数はおよそ30万頭ということですから、新興ブランド豚としては破竹の勢いと言えるでしょう。

このように、ブランド豚というのは日々進化を遂げていて、新しい種類もどんどんと出てきています。

前述の通りブランド豚自体には定義がありませんが、生産農家の努力の結晶であるブランド豚は、どれも品質が高く、味わいでも健康面でも非常に優れているといった部分が特徴として挙げられるわけです。

いろいろな種類のブランド豚

日本だけでなく世界にもブランド豚というのは数多く生産されています。

また、そんな世界のブランド豚からヒントを得て改良されたブランド豚というのも国内では改良されていますので、ぜひ参考までにご覧ください。

○金華豚(きんかとん)

中国原産のブランド豚で、金華ハムの原料ともなる豚肉です。

美食の国ともされ、さらに豚肉の生産量世界第1位という実績を持つ中国だけあって、その品質は確かなものとされています。

○イベリコ豚

冒頭でも紹介したスペイン産のブランド豚です。

日本においては2003年2月に輸入が解禁されたということもあり、日本人にとっては比較的新しい豚肉の一種ですが、スペインでは元々高級豚として扱われています。

○白金豚(岩手県産)

別名プラチナポークとも呼ばれ、現在お取り寄せの商品としても高い人気を誇っているブランド豚です。

海外や国内のブランド豚に対抗するために岩手県花巻市の高源精麦株式会社が生産を開始。

母豚に大ヨークシャー種とランドレース種の混血、父豚にバークシャー種を掛け合わせて作られています。

その甘い脂身と味の濃い赤身は、世界のブランド豚にも引けをとりません。

まとめ

国内の代表的なブランド豚から世界のブランド豚まで、またその定義や特徴についてご紹介してきました。

意外にも知られていなかったことがたくさんあったかと思いますが、ブランド豚は魅力に溢れるものだということが分かってもらえれば幸いです。

それぞれの生産農家が自信をもって出荷しているブランド豚は、どれも極上の味わいとなっていますので、ぜひ機会があれば食べてみてください。