日本の美味しい銘柄豚(ブランド豚)はどう違うか?

銘柄豚・ブランド豚の定義とは?

銘柄豚とは、

ブランド豚には明確で客観的な品質評価基準がないので、銘柄豚(ブランド豚)だからといって全てが良い豚肉であるとは限らない。

資料参照 ウィキペディア(Wikipedia) ブランド豚

とのこと。明確に基準があるわけではないようです。

そもそも日本の豚はほとんどが3元豚か4元豚ということで違いは餌と水と愛情くらいだったりする現実があります(笑)

しかし、とは言え現在ブランド豚とうたわれているその数はなんと、

日本全国で400種類を超えると言われているそうです。

弊社で持っている銘柄豚ハンドブックでも途方もない数の豚があります。

(資料参照 銘柄豚肉ハンドブック2018 食肉通信社)

その評価方法は銘柄豚ごとに、脂肪のつき方、きめ細やかさ、色つや、柔らかさ、更には飼育方法や品種の掛け合わせなども重要な要素として対象になるようです。
400銘柄の違いは何かというと、ある事実があります。

ブランド豚の8割以上を占める品種とは?

 全体数398
1品種等58 (15%)
 バークシャー9
 ヨークシャー9
 アグー9
 その他(金華豚、系統豚など)17
2飼養管理16 (4%)
 放牧3
 SPF13
3飼料・添加物311 (78%)
 麦類103
 飼料用米30
 さつまいも24

(資料参照 銘柄豚肉ハンドブック2014 食肉通信社)

この表はからは、
1.ブランド豚の78%は食べ物で違いがある。
2.豚の品種で違いをつけているのは15%以下しかない
3.味の違いを作るためには 

・品種(豚の種類)
・飼育環境(育つ環境)
・飼料(食べるもの)

各生産者、メーカーの皆さんが差別化をはかっています。

実は1種類の品種で85%のブランド豚が作られています。

では、その1種類の豚肉は何かというと、

『 LWD (エルダブルディー) 』

という豚肉でした。俗に言う三元豚(さんげんとん)というのも大抵はこの豚のことを指しているということもわかりました。厳密には、三元豚は、3つの豚の掛け合わせです。

LWDっていうのは、

繁殖性の優れたランドレース種(L)と大ヨークシャー種(W)を掛け合わせた雑種豚(LW)を子取り母豚とし、さらに止雄豚として肉質の優れたデュロック種(D)を掛け合わせた雑種豚(LWD)を肉豚にすることが主流となっています。

資料参照 ウィキペディア(Wikipedia)三元豚

ということで、日本の6大品種のうちの3つの豚をかけ合わせて作っているということでした。ここでは、日本の6大品種の残りの3つも含めて特徴を調べてみました。

日本の6大品種の詳細

【中ヨークシャー Y】

イギリス原産の中型白色豚。ずんぐりとした体系と大きな頭、しゃくれ上がった鼻が特徴で、とってもかわいい。繁殖力が大ヨークシャーやランドレースより劣る。全品種中もっとも筋繊維が細かく柔らかく、脂肪の質にも優れ美味な豚肉とされている。現在では数を減らし、世界的な希少種である。

【バークシャー  B 黒豚】

イギリスのバークシャーとウィルッシャー地方の在来種にシアメース種、中国種およびネオポリタン種などを交雑して成立したもので、1820年頃品種として固定し、1851年以降純粋繁殖が行われている。体は全体が黒色であるが、顔、四肢端および尾端が白く、いわゆる“六白”を特徴としている。体重、体型ともヨークシャー種に似ているが、顔のしゃくれはヨークシャー種よりややゆるく、耳は直立するかわずかに前方に向って立っており、体型は幾分伸びに欠け、やや骨細である。本種は強健で、産子数はやや劣るが、哺育は巧みであり、ロースの芯が大きく、肉質が良好で生肉用に適している。体重は7カ月齢で約90kg、1年で135~150kg、成豚で200~250kg程度のものが多い。

【ランドレース  L】

デンマークの在来種に大ヨークシャー種を交配して成立した秀れた加工用の豚である。白色大型の豚で、頭部は比較的小さく、頬も軽く、顔のしゃくれも殆んどなく、耳は大きく前方に垂れている。体型は胴伸びがよく、前・中・後躯の釣合いがよく、流線型の豚で、背線はややアーチ状を呈し、腿はよく充実している。

本種は産子数多く、泌乳量も多くて育成率高く、繁殖能力がすぐれている。また、産肉能力についても発育が早く、飼料要求率低く、背脂肪もうすくて秀れている。体重は6カ月齢で約90kg、1年で170~190kg、成豚で350~380kgに達する。

デンマークはもちろんイギリス、オランダ、スウェーデン等において多く飼育されており、わが国にもイギリス、オランダ、スウェーデン、アメリカから輸入され増殖されて、純粋種では最も多く飼育され、種雄豚としても種雌豚としても広く利用されている。

【大ヨークシャー W】 

ヨークシャー種は、イギリスのヨークシャー州地方において、在来種に中国種、ネアポリタン種およびレスター種などを交配して成立した優良な白色豚で大、中、小の3型ある。

大ヨークシャー種は、ベーコンタイプの代表的な品種として知られており、白色大型の豚で、頭はやや長く、顔面は若干しゃくれている。

耳は薄くて大きく、やや前方に向って立ち、背が高く、胴伸びがよく、胸は広く深く、肋張りもよく、背は平直かやや弓状で、腹部は充実して緊りがある。

後躯は広く長いが下腿部の充実にやや欠けるようである。体重は生後6カ月で約90kg、1年で160~190kgに達し、成豚では350~380kgになる。

現在、イギリス、アメリカ、スウェーデン、オランダ等において生肉用豚を生産するための交雑用として広く飼育されており、わが国においても、イギリス、アメリカから輸入され、主として繁殖豚として利用されている。

【デュロック D 赤豚】

ニューヨーク州のデュロックと称する赤色豚とニュージャージー州のジャージーレッドとが交配されて成立したもので、従来、デュロック・ジャージー種と呼ばれていたが、現在ではデュロック種と単称されている。

体は赤色(個体により濃淡あり)で、腹部、四肢などに黒斑の出ることがある。顔はわずかにしゃくれ、耳は垂れ、胴は広く深く、腿は深く充実しており、体重は300〜380kgで、従来ラードタイプに属していたが、最近ミートタイプに改良されている。

本種は体質強健で産子数も多く、放牧に適し、アメリカにおいてはハンプシャー種とともに多数飼育されている。

わが国には戦後最も早く輸入され、一部において草で飼育できると宣伝され、結果的にはあまり歓迎されなかったが、再び改良されたデュロック種が輸入され、飼育されている。

【ハンプシャー  H】

アメリカのケンタッキー、マサチュセッツ州の原産で、初期にはスインリンド(Thin Rind)種と呼ばれていたが1904年にハンプシャー種と改名された。

体は黒色で、背から前肢にかけて10~30cm幅の帯状の白斑(サドルマーク)があり、頭の大きさ中等で、頬は軽く、耳は直立し、肩は軽く、体上線は弓状を呈し、もも肉は深く充実している。

本種は産子数はやや少ないが、哺育能力にすぐれ、発育、飼料効率もよく、屠体は背脂肪がうすく筋肉量が多く、もも肉も充実して肉質も良好である。

アメリカにおいては多数飼育されており(登録頭数が最も多い)、わが国において昭和39年頃より再び輸入され、主として交雑用の種雄豚としてかなり利用されている。

さて、なぜほとんどがLWDなのか?
養豚の歴史がここから始まります。

ヨークシャ-Yという希少品種

養豚の歴史では、

・LWDは現在の豚肉の主流であること。

平成22年の段階では、海外ハイブリッド豚が15.8%と伸張する一方でLWD三元豚は73.9%、単一種は6.7%。肉豚は、大型品種を用いたLWDなど交雑種等が肉豚全体の約9割を占有。

(参照資料:公益社団法人中央畜産会「家畜改良関係資料」)

LWDの特徴としては早い発育と安い飼育コスト。繁殖能力が高いため子供の数が多く、脂肪分は少なめで赤味率が高いということ。

一方で、そのLWDが日本の8割以上を占めるようになったのは、最近のことで昭和の中期頃までは、違う種類の豚肉が日本の生産の9割を担っていたということが調べている中でわかりました。

その品種が『中ヨークシャー Y』という品種でした。

中ヨークシャ-Yという希少品種

ヨークシャー種はイギリスのヨークシャー原産のブタである。19世紀に「大ヨークシャー種」と「小ヨークシャー種」などの交配によって創出された。19世紀後半に養豚が行われるようになった日本では、国内のブタの95%がヨークシャー種だった。しかし20世紀後半から純粋なヨークシャー種そのものは激減し、近年は希少品種とみなされていて、希少品種保存活動(Rare Breeds Survival Trust)の対象になっている

参照資料 ウィキペディア(Wikipedia)ヨークシャー種

ところが第二次世界大戦が始まると、脂身が少なく保存が効く「ベーコンタイプ」の豚肉の需要が圧倒的になり、「ポークタイプ」のヨークシャー種は淘汰されるようになった。

しかし一部の農家は、将来のために純粋なヨークシャー種を残した。近年は食味のよさが見直され、ヨークシャー種はロンドンの高級レストランで採用されるようになっている。1990年の統計では、かつてよりは血統登録数は回復したが、それでも3.3%ほどにすぎない。

参照資料 ウィキペディア(Wikipedia)ヨークシャー種

さらに

明治政府は1900(明治33)年にヨークシャー種とバークシャー種を種豚に選定すると、しだいにヨークシャー種が主流になった。両種は日本各地の官営の種畜牧場に配置されて種豚となったが、鹿児島県や埼玉県の一部でバークシャー種(いわゆる薩摩黒豚の祖)が主流になった以外は、全国はほぼヨークシャー種になった。

日本経済が大きく発展すると、都市近郊での養豚が敬遠されるようになるとともに、食料・飼料生産が大きく向上し、食品廃棄物ではなく家畜用飼料を与えて家畜を育てることが可能になった。近年は、豚肉生産の量・質・効率などをバランスをはかるため、純粋品種ではなく、ヨークシャー種や大ヨークシャー種、ランドレース種デュロック種ハンプシャー種などの交雑による生産が主流になった。
1999(平成11)年に日本で新たに血統登録されたヨークシャー種はわずか15頭で、同年の登録数の0.1%である。

参照資料 ウィキペディア(Wikipedia)ヨークシャー種

この結果、

・LWDは海外の大型品種で、経済効率の良い豚肉。
豚の世界では歩留まりがいいといいます。
・明治〜戦後までは、中ヨークシャーという食味の良い豚肉が日本の養豚の9割を占めていました。
・戦後GHQの主導で、海外の大型品種の導入が行われ、中ヨークシャーは淘汰され、現在では日本含め世界中で希少品種として認定されています。

まとめ

・ブランド豚・銘柄豚が現在日本だけで400種類以上ある。
・そのブランド豚の78%は餌で違いを出すことで差別化をはかっていた。
・豚肉の美味しさを決める要素は、1品種、2環境、3食べ物だった。
・ブランド豚の85%は、1種類の豚肉でLWDという三元豚だった。
・LWDは海外からの大型品種の掛け合わせで、経済効率抜群の豚だった。
・LWDは戦後日本に持ち込まれた品種で、もともと日本の主流は、中ヨークシャーという中型の豚肉だった。
・中ヨークシャー種は、食味が良く元祖テーブルポークとして愛されていた。
・しかし現在では世界的な希少品種指定を受けるぐらい数が少ない。

今回リサーチした結果、現在の日本の豚肉市場のほとんどが経済効果の良いLWD(エルダブルディー)という掛け合わせであることが分かりました。

昭和のおいしいテーブルポークの王様『中ヨークシャー』という希少品種。昭和30年までは日本で一番生産され、最も愛されていた豚肉でしたが、今では日本で消費されている豚肉全体の0.001%以下になっていること。

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