銘柄鶏と地鶏の違いって何?

よく鶏肉で「銘柄鶏」や「地鶏」といった表記がされているものを見ますが、なんとなく普通の鶏よりも高級というイメージくらいしか浮かばないかと思います。

しかし、実はこの2つにはとても大きな差があるのです。

知っておくと非常にタメになる知識として、ここでは銘柄鶏と地鶏に違いについてご紹介していますので、ぜひ参考までに見ていってください。

きっと明日、誰かに言いたくなること間違いなしの豆知識となっています。

 

銘柄鶏と地鶏の違いは品種や育て方

最近、ファミリーレストランやお惣菜屋さんなどで、「○○産銘柄鶏使用」といった表記のある鶏肉を見かけることが増えましたが、この銘柄鶏というのは地鶏とまったくの別物ということをまず覚えておいてください。

現在の日本の食に関する法律で、銘柄鶏というものを明確に定義したものはありません。

一般的にはブロイラー(若鶏)でもなく地鶏でもない鶏肉が、銘柄鶏として流通しているといった形です。

銘柄鶏は各生産農家が独自に品種改良をしたり、また飼料を考え抜いたりと試行錯誤の結果誕生している鶏ですが、その品質を明示する法案がないため、地鶏よりやや信頼度に欠ける部分があります。

もちろん品質的には地鶏に相当するような素晴らしい銘柄鶏もいますので、早く銘柄鶏が信用される規則が出来上がって欲しいものです。

対して、地鶏というのは明確な基準が定まっていて、その定義というのは「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」にも記載されています。

 

○地鶏の定義

それでは地鶏の定義について、もう少し詳しく見ていきましょう。

まず、先ほどの「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」、通称JAS法とも呼ばれるものから地鶏の定義をご覧ください。

 

1. 飼育の対象となるひな鶏

鶏の品種には、明治時代までに国内にて生産および定着していた「在来種」と呼ばれるそれぞれの地域固有の品種があります。(コーチン、比内鶏、烏骨鶏など)

しかし、在来種のほとんどは生産性が悪く、そのままでは実用的でありません。

そのため、在来種と在来種以外の鶏肉用の品種とを交配させた鶏を飼育することが大半です。

そのうち、「在来種由来血液百分率」が50%以上であるひな鶏が「地鶏肉」としてJAS規格の対象とします。

注)  在来種由来血液百分率とは在来種は100%、在来種以外の品種は0%として計算。
交配させた場合は、両親それぞれの血液百分率を合計し、2で割った割合がこの数値となります。

2. 飼育期間

卵が孵化してから80日間以上飼育されていること。

3. 飼育方法

ひな鳥は、保護する必要がなくなる28日齢以降、鶏が鶏舎や屋外を自由に運動できる「平飼い」といわれる環境で飼育されていること。

4. 飼育密度

1㎡当たり10羽以下で飼育されていること。

この4つの基準を満たしている鶏が、「地鶏」として認められているということですので、銘柄鶏とは似て非なるものというのがよく分かるかと思います。

 

地鶏における在来品種って?

地鶏の定義が分かったところで、さらに踏み込んだ疑問を解決していきましょう。

定義のはじめにあるように、地鶏は日本で昔から飼育されていた「在来種」をベースにしていなければなりません。

しかし、この在来種というものが明確に分からないと地鶏かどうか判断がつきませんので、その認められている在来種をまとめてピックアップしました。

 

○地鶏のベースとなる在来種一覧

 会津地鶏
 伊勢地鶏
 岩手地鶏
 インギー鶏
 烏骨鶏
 鶉矮鶏
 ウタイチャーン
 エーコク
 横斑プリマスロック
 沖縄髯地鶏
 尾長鶏
 河内奴鶏
 雁鶏
 岐阜地鶏
 熊本種
 久連子鶏
 黒柏鶏
 コーチン
 声良鶏
 薩摩鶏
 佐渡髯地鶏
 地頭鶏
 芝鶏
 軍鶏
 小国鶏
 矮鶏
 東天紅鶏
 蜀鶏
 土佐九斤
 土佐地鶏
 対馬地鶏
 名古屋種
 比内鶏
 三河種
 蓑曳矮鶏
 蓑曳鶏
 宮地鶏
 地頭鶏
 ロードアイランドレッド

こちらが地鶏のベースに認められている在来種となりますが、中には元々外国産だったものもあります。

一応、これらの在来種の定義については「明治時代までに日本で繁殖が確認されていたものに限る」とされています。

そのため、江戸時代末期の頃には、すでにこれだけの鶏の品種が飼育されていたということです。

しかし、これだけ豊富な鶏が生産されていたというのは、豚肉や牛肉を食べる文化が西洋よりも遅かった日本ならではといったところかと思います。

 

地鶏の種類

さて、地鶏について理解したところで、実際にはどういった地鶏が市場に出回っているのかという部分もご紹介しておきましょう。

地鶏というのはご覧いただいたように、在来種と深い関係があります。

そのため、元々農村部など養鶏が盛んだった地域が現在の地鶏産地となっているようです。

 

○認定されている代表的な地鶏

・比内鶏または比内地鶏(秋田県)
東北を代表する地鶏のひとつで、柔らか肉質が魅力的な地鶏です。
昔からきりたんぽの具材や出汁などにも使われてきた品種となっています。

・純系名古屋コーチン(愛知)
単純に名古屋コーチンとも呼ばれる地鶏ですが、こちらは在来種であるコーチンを使った名古屋独自のブランド鶏となっています。

・鳥取産大山地どり(大山シャモ)(鳥取県)
現在、飲食店などでも多く取り扱われている地鶏です。
鳥取県がプッシュしているブランド鶏でもあり、地鶏の中では比較的目にする機会が多い品種となります。

・天草大王(熊本県)
九州を代表する地鶏のひとつで、高いブランド力を誇っています。
全国的にも有名で、こだわりのあるラーメン屋などではこの天草大王をスープのベースとしているところも少なくありません。

・みやざき地頭鶏(宮崎県)
国内では地鶏の一大産地でもある宮崎県が自信をもって生産しているブランド地鶏です。
味わいなどにおいてバランスに優れた肉質は、多くの方々から支持を得ています。

 

 

まとめ

銘柄鶏と地鶏の違いをご覧いただきながら、地鶏の詳細についても理解してもらえたかと思います。

今まで何気なく目にしていた地鶏という文字も、こうした知識を覚えてから見るとまた違ったものに見えてくるのではないでしょうか。

地鶏は希少性があり、独自の生産方法で昔ながらの在来種の価値を保っている鶏肉です。

味わいはやはりほかの銘柄鶏や若鶏よりもワンランク上といった印象がありますので、ぜひ機会があれば色々な地鶏を味わってみてください。