銘柄鶏について、地鶏について
日本には全国各地に多くのご当地鶏が存在します。
そんな地域名産の鶏肉には「銘柄鶏」や「地鶏」といった名称が付けられているのですが、この2つにどういった違いがあるかご存知でしょうか?
なんとなく、どちらも高級で美味しい鶏肉のように感じられますが、実はこの2つの間にはとても大きな差があるのです。
ここでは、そんな銘柄鶏と地鶏に違いについて、それぞれの定義や特徴をご紹介していきます。
これまで何気なく口にしていた鶏肉も、こちらの内容を見ればさらに味わい深くなるかと思いますので、ぜひご覧になってみてください。
銘柄鶏の定義や特徴
スーパーやファミリーレストランなどで、よく「○○産銘柄鶏」といった表記を目にすることがあるかもしれませんが、この銘柄鶏という言葉には正式な定義はありません。
そのため、生産者が「これは○○銘柄鶏だ」と言ってしまえば、その鶏は銘柄鶏ということになります。
しかし、さすがに何でもかんでも銘柄鶏になるわけではなく、一般的にはブロイラーを品種改良したものや、在来種と掛け合わせた鶏を銘柄鶏として扱うことが大半です。
前述したように銘柄鶏に対しての基準というものはありませんが、実際に市場へ出荷販売する場合は、ある程度の供給量がないと銘柄鶏といっても誰も信頼してくれません。
こうしたことから、銘柄鶏というのは養鶏業界において一定の基準を満たしている鶏肉のことを指すようになっています。
また、現在の日本で鶏肉というのは3つに分類されるのですが、これは「若鶏(ブロイラー)」「銘柄鶏」「地鶏」という分け方です。
このうち、「若鶏(ブロイラー)」と「地鶏」については明確な定義や基準というものがありますので、ある意味この2つに分類されないものを銘柄鶏として認識すれば分かりやすいかもしれません。
○若鶏・ブロイラーとは?
地鶏についてはのちほど説明しますが、銘柄鶏がどういったものなのかを知るためには「若鶏(ブロイラー)」がどんな鶏なのかを知っておかなければなりません。
日本で「若鶏の○○」といった料理を提供している場合、使われている鶏肉はブロイラーという種類となります。
ブロイラーは国産から外国産まで幅広いものが使われていますが、主に「国産若鶏使用」などと表記されていれば国産となり、単に「若鶏使用」と書いてあるなら外国産の確率が高いです。
ブロイラーが若鶏と呼ばれるのには、生後2ヶ月程度で出荷できるくらい成長スピードが早い品種であることが理由として挙げられます。
なお、こちらのブロイラーはアメリカで開発された大量生産用の鶏です。
日本には戦後から数多く輸入されるようになり、今では流通している鶏肉のシェアとしては国内ナンバーワンとなっています。
ブロイラーはとにかく成長スピードの早さが魅力的で、養鶏業者にとっては非常にありがたい存在です。
しかし、品質という面で言えば「ごく普通」という位置づけになり、銘柄鶏や地鶏といった品種には敵いません。
なお、飲食店や精肉店では、このブロイラーを販売する際に「若鶏(もしくは単に国産鶏)」「国産」「外国産」といったことを明記しなければならないのですが、間違えると「不当景品類及び不当表示防止法」の違反となります。
つまり、鶏肉の表記には誤植が認められませんので、法的に罰せられる可能性が出てくるというわけです。
そのため、ウソの付きようがありませんので、鶏肉を選ぶ際の分かりやすい目安となっています。
ここまでの説明を踏まえて、もう一度「銘柄鶏」についての基準を説明すると、「若鶏(ブロイラー)」という表記がなく、さらに「地鶏」にも該当しない鶏がいわゆる銘柄鶏と呼ばれるということです。
ただし、ブロイラーでも地鶏でもなく、さらに生産者が「銘柄鶏」としても出荷していなければ、単純に「国産鶏」などといった表記になりますので、こちらも頭の片隅に入れておいてもらえればと思います。
○銘柄鶏はブロイラー以上地鶏未満?
これまでの説明を見ると、銘柄鶏というのはブロイラー以上の品質があり、地鶏未満の扱いという風に捉えられるかもしれませんが、実際には地鶏と同等の美味しさを持っている銘柄鶏もたくさんいます。
料理などによってもその味わいは変わりますので、けっして銘柄鶏が品質の劣る鶏肉ということではありません。
中には、これから地鶏として認定してもらえるように尽力している銘柄鶏の生産農家もいますので、一概にすべての銘柄鶏が品質として中程度ということではないことを理解してもらえればと思います。
地鶏の定義や特徴は?
◆地鶏の定義や特徴について見ていきましょう。
地鶏というのは、「JAS法」と呼ばれる規定に沿って認定を受けた鶏だけが名乗れる名称です。
こちらは「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」というもので、厳格に定義されていますので、「若鶏」や「銘柄鶏」とはやはりひとつ格が違います。
ちなみに、地鶏である定義というのは
“在来種純系によるもの、または在来種を素びな(鶏の子供)の生産の両親か片親に使ったものである。
また、飼育期間が80日以上であり、28日齢以降は平飼いで1㎡当たり10羽以下で飼育しなければならない”
このようになっています。
ちなみに「平飼い」というのは鶏が自由に動き回れて、さらに地面に足が着く状態であることを指しています。
ただし、正確にはすべての地鶏がちゃんと地面で自由に動き回れているか1羽1羽チェックすることは難しいため、ある程度生産者の良心とモラルに任されているのが実情です。
もちろん、平飼いで育てた鶏肉は健康的で味も美味しくなるので、結果的には評判などに繋がり、ウソを付いていれば品質も落ち、自分たちのデメリットにしかなりません。
そのため、基本的にはそれぞれの地鶏はしっかりと定義に則って飼育されているということになっています。
まとめ
銘柄鶏と地鶏の定義や特徴についてご紹介してきましたが、いろいろとこれまでに知らなかった部分も多かったのではないでしょうか。
特に2000年頃からは、日本でも食品の表示について規制が厳しくなったため、どの鶏肉も正式に定められた表記で販売されています。
こうしたことからも、パッケージを見ればそれが銘柄鶏なのか地鶏なのか、はたまた、ただのブロイラーなのかというのは一目瞭然です。
ぜひ、こうした知識を持ってスーパーなどで買い物をしてみてください。